上郷東地区は、ご存じの方も多いと思いますが、遠く鎌倉時代の遺跡、旧跡が多く残されています。来年度、栄区制40周年を迎える今、古き上郷東地区のよさに触れてみませんか。(令和7年10月)


證菩提寺


上証菩提寺は文治5年(1189年)に源頼朝によって創建されたといわれています。
建立された目的は1180年8月、源頼朝が北条時政の後援を得て,小田原の石橋山に挙兵したとき、頼朝の身代わりとなって戦死した佐那田与一を追福するために建立したといわれています。寺の中心に国宝木造の阿弥陀如来坐像、證菩提寺文書などの文化財が保存されています。
神奈中金沢八景行「稲荷森」下車徒歩5分のいたち川沿いにありますが、鎌倉時代の頃は周囲1㎢もある広大な寺院で、現在の横浜栄高校から山手学院あたりまでの敷地だったそうです


〇 深田遺跡


県内最大規模の製鉄遺跡です。上郷町字深田に「カナクソ」と呼ばれる所があり、古くから大量の鉱物の屑が出土していました。昭和61年に、ここに上郷・舞岡線の道路が敷設されることになり、発掘が行われました。その結果,丘陵地を利用して製鉄し、製鉄炉18か所,製銅炉1か所が発見されました。その他の出土遺物は土師器、須恵器なども見つかり、7世紀半ばから9世紀半ばまで200年以上発掘が続いていたことが明らかになりました。


〇 上郷猿田遺跡


猿田遺跡は現在の県立横浜栄高校の敷地から発見されました。ここからは、竹べらによる模様の文式土器と、打製石斧や大型の石皿等が出土する縄文後期の住居跡2軒を含む遺跡が発見されました。さらに、その上層部には奈良時代(700年頃)の真間式土器、13件の住居跡の奈良時代の竪穴住居や掘立柱建築跡なども発掘されています。住居跡からは、かまどが見つかりせいろでご飯を蒸したり、おかゆ、魚などのおかずなどを食べた跡、服装については男は衣袴、女は衣裳(衣裳)を常用していたこともわかっています。


〇 光明寺


7世紀に聖徳太子の弟子の秦河勝という人が建てたといわれています。山門を入ると、浄土真宗開祖親鸞像が見られます。本堂には、小観音菩薩立像とお寺の本尊、阿弥陀如来像あります。
また境内には卵型の大きな石が置いてありますが、お祭りにはその石で力比べをしたという民話が残されています。


〇 思金神社


天照大神が天の岩戸に隠れた時、作戦をたてて岩戸から誘いだした神様を祭った神社といわれています。
昭和51年に白山神社拝殿の跡地に建てられました。学問、商工、建築などにご利益あるといわれています。
社殿まで100段の急旧坂は堪えます。


〇 白山神社


白山神社は7世紀の初めは梶ヶ谷口にありましたが、鎌倉時代の終わりに、関東大震災で壊れて移転して「昇龍橋」のところに本殿を、思金神社のところには拝殿をつくりました。
その後、昭和51年宅地開発に伴い、本殿と拝殿を一緒にして現在の白山神社ができました。白山神社は災いを守る「主良の神」として崇められています。

〇 昇龍橋


神奈中バス金沢八景行に乗り、「八軒谷戸」で下車。すぐ脇のいたち川に造られた石橋が昇龍橋です。白山神社の参道としてつくられたもので,市内では最古の石橋です。

〇 円海山ハイキングコース


神奈中バス庄戸循環に乗り、庄戸一丁目バス停から直進していくと,梅沢山入り口から円海山ハイキングに入ります。途中、横浜市の最高峰大丸山があり、横浜霊園を右に見ながら進むと、およそ1時間30分ほどで、建長寺や大塔宮に行くことができます。
古くから、人々が行き来した昔の様子が偲ばれます。


〇 大丸山


横浜市内で一番高い山です。広々とした見晴らしのいい場所です。標高は156.8mです。


〇 いたち川散策コース


源流は横浜自然観察の森から発しています。環状4号線に沿って流れ、最後は柏尾川に合流しています。栄区を流れる唯一の川で区民に親しまれています。下流から上流に沿って、散策できるコースも整備され、シーズンはもちろん、日常も大勢の人たちが訪れる名所の一つです。


〇 瀬上の池


県立横浜栄高校の下の広い直地を進むと、森林の中に、瀬上の池があります。古くは地域の農業用水として利用されていました。
観光地化されず、自然のまま残されていて、神秘的な漂いを見せています。いたち川の源流にもなります。いたち川散策のハイキングコースに組み入れることもいいと思います。また、蛍の生息地としても知られています。


〇 上郷森の家


横浜市民の森の自然に恵まれた中にあり、四季を通じて触れ合いながら、心豊かなひと時を過ごすことができる研修、宿泊施設です。市内の小学生や家族連れ、団体に利用されています。